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雪に浮かぶ

樹氷、私が初めてその景色に出会ったのは2012年の冬、秋田の阿仁という地域にある森吉山へ取材で訪れた時だった。その日は東北地方を寒波が襲っていて、気温は頂上付近でー20℃という過酷な状況だったのを覚えている。

濃霧と降雪で視界が悪い中、微かに浮かび上がるその姿は、まるで白い生物が霧と雪を吸収し、成長している様を目の当たりにし、今にも動き出しそうな気配を感じ、吹雪の中深く青い樹氷に魅力を感じた。

それからというもの、寒波や荒天の日を狙い蔵王、八甲田山、森吉山へ出かけては、幻想的な森を漂い、止まる事なく変化する自然の造形を写してきた。